嘔吐や下痢を招く犬猫の食中毒!原因や防ぐポイントを解説

更新日 : 2020年08月19日

出典:PIXTA

食中毒とは、食品に起因する下痢・腹痛・発熱・嘔吐などの症状の総称です。

 

その原因はカンピロバクターやサルモネラといった細菌からノロウイルス などのウイルス、フグ毒やキノコ毒といった自然毒によるものまでさまざまです。

 

今回は、犬や猫の臨床現場でも多い細菌による食中毒の症状や予防のポイントをお伝えします。

 

目次

 

夏に注意したい犬猫の食中毒とは?

夏場は気温が上がり湿度も高くなるため、食中毒の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。

 

特に細菌は水分の多い食べ物の中で繁殖しやすくなるので、犬や猫に開封後のウェットフードや人間用のごはんを与える際は注意が必要です。



犬猫が中毒を起こす可能性がある食材とは

犬猫の食中毒

 

手作り食に使用する食材

生肉は種類を問わず食中毒を起こす可能性があるので、基本的には犬・猫ともに与えるのは避けましょう。

 

サルモネラやカンピロバクター、大腸菌といった人にも食中毒を起こす細菌は、犬や猫にも同様の症状を引き起こします。

 

特に鶏肉は猫ちゃんの好物ですが、カンピロバクターに汚染されていることが多いので、かならず熱湯などで火を通してから与えてください。

 

フード全般の扱い

缶詰やパウチなどに詰められているウェットフードは、開封されるまでは無菌状態です。

 

ただ、添加物も少なく、開封後に常温で放置すると細菌が繁殖しやすくなってしまいます。

 

水分の多い餌が残ってしまったときは、冷蔵庫に保管して早めに食べ切るか、捨ててしまうことをおすすめします。



犬猫の食中毒の症状

細菌による食中毒には、主に「毒素型」「感染型」「生体内毒素型」の3つに分類されます。

 

この3つは人間が食中毒を起こしたときの症状の分類として用いられますが、犬や猫でも同様の食中毒症状を起こす可能性があるので注意が必要です。

 

原因菌と症状は以下の通りです。

 

感染型

食品内で食中毒の原因となる菌が増殖してしまったものを食べ、その菌が腸管の中で増殖することで発症します。加熱が有効です。

 

主な原因菌と食材

 ・サルモネラ:肉、卵

 ・カンピロバクター:鶏肉

 ・腸炎ビブリオ:魚介類

 

毒素型

食品内で細菌が作り出す毒素により発症します。食品を加熱することで菌は死んでも毒素は残り食中毒を発症することがあります。

 

主な原因菌と食材

 ・黄色ブドウ球菌:穀類と加工品

 ・ボツリヌス菌:缶詰、蜂蜜など

 ・セレウス菌(嘔吐型):穀類と加工品

 

生体内毒素型

体内に摂取された食中毒の原因菌が腸管内で増殖し、腸管の中で作り出した毒素によって食中毒を発症します。

 

主な原因菌と食材

 ・ウェルシュ菌:加熱調理食品

 ・セレウス菌(下痢型):さまざまな食品

 ・腸管出血性大腸菌:牛肉



犬猫の食中毒の治療

実際の治療現場では、下痢を起こした犬や猫のうんちからカンピロバクターやウェルシュ菌と思われる菌を見かけます。

 

糞便検査や問診で細菌性の腸炎が疑われるときは抗生剤を投与します。

 

下痢や嘔吐があり、脱水の可能性がある場合は、皮下補液など対症療法を行って回復を待ちます。



犬猫の食中毒の予防方法

肉は加熱して与えることが最も重要です。

 

加熱といっても、炒めたり焼いたりして人間と同様の味付けにすると塩分の過剰摂取につながるので、塩を加えていないお湯で煮沸して与えるのがいいでしょう。

 

茹でた肉はそのまま与えることができるだけでなく、茹で汁にも特有の匂いや味が付いて飲ませることができ、水分摂取量を増やすことにも役立ちます。

 

ただ、茹で汁も常温で時間が経つと細菌が繁殖しやすくなるので、放置せずに冷蔵庫に保管するようにしてください。

 

フードをお皿に残しておかないことが重要です。

 

与えるのは水道水?ミネラルウォーター?

ペットの健康を考えて、水道水ではなくミネラルウォーターを与える方もいらっしゃいますが、実はペットについては水道水の方が適しています

 

水道水は人が飲んでも大丈夫な程度の微量の塩素が含まれています。なので、水道水は常温でも数時間はペット用のお皿にいれて置いたままにすることができます。

 

一方、ミネラルが豊富な水は尿の結晶発生などの原因になる可能性があります。食中毒防止の観点からも、できるだけ水道水を飲ませましょう。



まとめ

犬猫の食中毒

 

犬や猫は野生に近いように生肉が一番いいのだ、と思われることもあるかもしれませんが、ご紹介したように食中毒のリスクが高く、きちんと管理された製品等を継続している場合以外はおすすめできません。

 

総合栄養食という表記のあるペットフードであれば、犬や猫に必要な栄養素は過不足なく摂取することができます。

 

加熱したお肉をおやつとして与える際も、肉の中心部までしっかり加熱されているか注意して与えましょう。

 

ペットに下痢や嘔吐の症状がなくても、普段からスキンシップの後や排便排尿の処理の後はせっけんで手を洗うといった習慣をつくっていくことも、人とペットが長く安心して暮らしていくための予防策として重要です。

 

もしも下痢や嘔吐がみられた際は早めに受診してください。

 

 

参考:

東京都水道局:https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/faq/qa-13.html#c

農林水産省 消費・安全局 「食中毒ってなあに?」資料: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/training/pdf/081225a.pdf

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