ペットを守る夏の虫対策!代表的な虫被害や駆除剤の選び方

更新日 : 2020年07月09日

出典:PIXTA

気温や湿度が上がり、本格的に夏が到来しようとしています。日々のお散歩に加え、わんちゃんとキャンプやBBQといったアウトドアを楽しむ予定の方もいらっしゃるかもしれません。

 

今回は特に気をつけたい虫被害について獣医師がご説明させていただきます。

 

目次

 

夏に注意すべきペットの虫被害

夏の虫対策

 

一般的に予防が必要なのはマダニ 、ノミ、蚊といったわんちゃんにとって危険な病原体を運ぶ虫です。

 

マダニやノミ 、蚊は気づくと吸血されていることが多く予防が難しいのですが、駆虫薬を使うことで病原体の媒介を抑えることができます。

 

山など虫が多くいる場所に出かける際には、虫があまり寄ってこないように子供用の虫よけスプレーなどを塗布し、帰宅後にはわんちゃんが舐めないよう、洗ったりふき取るようにするのもよいでしょう。

 

そのほか、毛虫や蛾など夏になると増えてくる毒のある生物にも気を付ける必要があります。

 

お散歩や野外活動中に毛虫などを見つけると興味をもって確認しに行ったり、食べようとしてしまう好奇心旺盛なわんちゃんもいます。

 

駆虫薬をしっかり使った上で、茂みをガサガサと探索する時は変なものをくわえたりしないように注意が必要です。

 

 

代表的な虫被害ごとの症状と対処法

マダニ

マダニによる直接的な被害と間接的な被害があります。

 

直接的な被害は、マダニ が大量に寄生して吸血することで貧血になることです。

 

症状としては元気消失、粘膜が白っぽくなってくるなどで、耳や股の間に大量のマダニ が吸血している様子がみられます。

 

また、マダニに咬まれた場所を気にしてわんちゃんが傷口を掻いてしまったり、傷口が炎症を起こして腫れたり化膿してしまうこともあります。

 

間接的な被害とは、マダニに潜むバベシアや重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)などの病原体に吸血を介して感染することです。

 

マダニ が媒介する感染症は多いのですが、バベシアでは貧血を起こしますし、SFTSウイルスは高熱や元気消失がみられます。

 

SFTSウイルスは人間にも感染し、致死率が高いことでも知られています。

 

ノミ 

ノミでも直接的な被害と間接的な被害があります。

 

直接的な被害では、吸血による貧血やノミの唾液によるノミアレルギー性皮膚炎があり、痒みや脱毛など皮膚炎の症状がみられます。

 

間接的な被害としては瓜実条虫などの腸管に寄生する寄生虫を媒介することが知られています。下痢などがみられることがあります。

 

わんちゃんや猫ちゃんは、蚊に血を吸われても人のように痒くなることはほとんどありませんが、蚊はフィラリアという犬の心臓に(稀に猫にも)寄生する寄生虫を媒介する恐れがあります。

 

重症では呼吸困難や咳、失神のほかお腹や首の下の皮膚がむくんできます(浮腫)。

 

毒のある毛虫・蛾・蜂など

どのような毒をもっているかによってさまざまですが、触れた部分が赤くなったり、重度の場合はアナフィラキシーショックを起こしてしまうこともあります。

 

 

虫の被害からペットを守る。予防法は?

ペットの虫被害予防策

 

基本的には日常生活でも感染の危険があるノミ・マダニと、蚊が媒介するフィラリア症を予防するために、継続して駆虫薬の投与を行うことが必要です。

 

動物病院で取り扱いのある駆虫薬が予防には最も適しています。

 

一般のお店で購入することができる忌避剤(きひざい、いわゆるノミ取り首輪)は駆虫効果が不十分だったり、生き残ったノミが再度増殖してしまうので予防効果が不十分な可能性があります。

 

一方、動物病院で取り扱いのある駆虫薬は動物用医薬品です。

 

たとえばフロントラインではノミは24時間以内に、マダニは48時間以内にほぼ100%駆虫することができ、効果は約1ヶ月持続します。

 

たまに基材のアルコールに対して皮膚が赤くなってしまう体質の子もいるので、そうした場合は飲ませるタイプのお薬がよいかもしれません。

 

駆虫薬は垂らすタイプや飲ませるタイプなど様々なバリエーションがあるので、個体の性質に合わせて適したものを使うことができます。

 

 

家庭用殺虫剤によるペットへの悪影響は?

ゴキブリやハエなどの駆除を目的とした殺虫剤はさまざまなものがあるので個別に見ていかなければなりませんが、一般的に家庭用殺虫剤ではピレスロイド系のお薬が使われていて、これは人や犬猫など哺乳類の細胞には安全性が高く、昆虫の神経系を障害する成分です。

 

ペット用の駆虫薬でもこのピレスロイド系の有効成分が配合されているものが多く、殺虫剤を使用する環境で人と過ごす程度では健康に影響を与える可能性は低いと考えられます。

 

締め切った室内で使用する際は、時々窓を開けて換気をよくして過ごせるような環境を整えてあげて、殺虫剤は誤飲したり舐めたりしないようにペットの体の届かないところに置いてあげることをおすすめします。

 

 

まとめ

虫被害からペットを守る

 

虫そのものの被害よりも、虫が運んでくる感染症の方がペットの命を脅かすかもしれません。

 

これから夏本番、わんちゃんと楽しくお散歩やアウトドア生活を楽しむためにも日頃からしっかりと予防をしていきましょう。

 

お散歩などから帰る際は、玄関で軽くブラッシングをすると体についた虫を落とすことができます。

 

参考:

アース製薬:https://www.earth.jp/support/faq/cockroach/ad0090/index.html

アース製薬:https://www.earth.jp/gaichu/anzensei/

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