ぽっちゃりも可愛いけど…猫の適正体型・体重とダイエット
出典:PIXTA
ぽっちゃりとした猫ちゃんはとてもかわいいですよね。でも、猫ちゃんの健康のためには太りすぎないように管理してあげることも大切です。今回は適正な体型・体重とダイエットについて獣医師がご説明します。
うちの子、肥満?猫の適正体重
猫ちゃんは犬ほど品種による体格差がないのですが、それでも適正な体重というのはその子によって異なってきます。そのため、動物病院などではまず体重ではなく体型が適正かどうかを確認します。適正体型時の体重を確認することで、適切な健康管理の役に立ちます。
体型の評価軸は、体脂肪を評価するBCS(ボディコンディションスコア)とMCS(筋肉コンディションスコア)があります。肥満に該当するかどうかを判断する際には主にBCSを用いるので、今回の記事ではBCSについてご説明していきます。
BCSは5段階評価と9段階評価が知られていますが、ここでは9段階評価に則ってご紹介します。適正な体型(痩せすぎでも太りすぎでもない状態)はBCS4から5とされています。
世界小動物獣医師会の栄養管理ガイドラインでは、BCS4は「わずかな体脂肪が肋骨を被っており、肋骨は容易に触知できる。上から見たときに腰のくびれが゙容易に認められる。腹部のへこみがはっきりと見える」と定義されています。
BCS5は「肋骨を被う余分な体脂肪はなく、肋骨に容易に触知できる。上から見たときに肋骨の後ろに腰のくびれが見え、腹部が引き締まっている」と定義されています。
なお、猫ちゃんの足の付け根とお腹を結ぶ部分の皮膚が多少垂れているのは専門用語でプライモディアル・ポーチと呼び、適正な体型でもみられるものです。
猫の肥満による健康被害
肥満の猫ちゃんはおしっこトラブルが増えるほか、肝臓を痛めるリスク(肝リピドーシス)や糖尿病を発症するリスクが高くなることが知られています。
また、太ってくるとお腹のたるんだ皮膚が地面に擦れて脱毛することがあります。
猫のダイエットはどうやるの?危険はない?
フードのあげ方
まずはラベル裏などに記載のある年齢や体重別の量を与えます。代謝には個体差があるので、痩せてきたり太ってきたりした場合は適正体型の時の体重に近づけるようフードの量を増減してください。
運動や遊ばせ方
人間はダイエットのためにつらくても運動を頑張りますが、猫ちゃんは疲れたらやめてしまいます。ダイエットのための運動というのはあまり有効ではないと考えられます。
基本的には、摂取するカロリーを減らすフードの管理がメインになります。
ダイエットでの危険性や注意点
急激なダイエットは肝リピドーシスを起こす可能性があります。肝リピドーシスは肝臓に中性脂肪がついてしまう病気で、肥満の猫ちゃんの食欲不振時によく見られるものです。
病気を防ぐためにもフードの給餌量は徐々に減らしていき、数ヶ月単位でゆっくりと体重を減らしていくようにしましょう。筆者個人としては、一カ月の間にダイエット開始時の体重から5%以上の体重減少をしないように気を付けながら行うことをおすすめします。
適正体重に近づけるために。獣医師アドバイス
まずは猫ちゃんが適正な体型なのかどうかを判断するところから始めてみましょう。
家で体重をはかる方法はいろいろありますが、猫ちゃんを抱っこした状態で体重計に乗り、その重さから飼い主の体重を引く方法が一番簡単にできます。
まとめ
猫ちゃんは毛が生えていて肉付きが分かりにくく、もともとお腹周りの皮もたるんでいるので、外見からでは適正な体型・体重を判断するのは難しいかもしれません。
予防接種などで受診する際に体型や体重を診てもらったり、飼い主さんが家でチェックできるように体型の見方を指導してもらうといいでしょう。
参考:
世界小動物獣医師会 栄養管理ガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/Global-Nutritional-Assesment-Guidelines-Japanese.pdf