犬猫の里親になるには?募集の探し方や迎え入れるための準備
出典:PIXTA
感染症流行などによって社会情勢がめまぐるしく変化する中、ペットショップでの購入ではなく保護された犬猫をお迎えする飼い主さんが増えています。ペットと出会う場も、ペットショップでの対面よりもインターネットでのきっかけが急増しているようです。この記事では、犬猫を里親として迎えるために知っておきたいことについてご紹介します。
目次
犬猫の保護をめぐる日本の現状
少子高齢化が進む日本では、新たな家族の一員としてのペットの重要性が高まっています。
もともと犬は「常に庭にいる番犬」、猫は「放し飼いで、気が向いたときに家にきてまたふらっといなくなる」といった立ち位置で飼われることが多かったのですが、今は犬も猫も室内で飼われる子が増えました。
その一方で、年間約38万頭の犬や猫が自治体の保健所などに収容されています。各自治体は動物愛護センターなどを設けて新たな飼い主を探す活動(譲渡活動)を行っていますが、施設や人員には限りがあり、里親探しにはどの自治体も苦慮しているようです。
「里親になる」ってどういうこと?
里親になるということは金銭的に新たな負担が生じることに加え、命を預かる責任も発生します。適切な住環境を用意することはもちろん、人間に対して不信感を持っている犬猫も多いので、そうした気持ちが和らいで人と一緒に生きていけるよう適切な距離感でコミュニケーションを取り続ける根気強さも必要です。
また、当たり前のことではありますが、ペットが病気になったときには治療をします。経済的な負担が大きくなったとしても愛情を注いで飼い続ける覚悟がなければいけません。不妊手術が行われていない場合は、お迎えしてから手術を受けさせる必要もあります。
犬と猫、迎えた後の違い
これまで多くの動物を見てきた獣医師個人の印象としては、犬と猫では里親としてお迎えした後の馴染み方に少し違いがあるような気がしています。猫の場合は、もともと野良猫だった子でも人間からひどい虐待などを受けていない限りは、最初は警戒するものの、お迎えすると徐々に慣れていくことが多いようです。猫の性格によってはかなりの甘えん坊になることも少なくないとか。一方、保護犬は人に対する不信感がなかなか抜けず、思わず里親を噛んでしまったり、怯えた様子が続くことが長い印象を受けます。ただ、明確な理由は分かりません。
猫の場合は子猫でも成猫でも、里親になる方の生活環境をそれほど気にすることはありません。しかし、小さなお子さんがいる家庭や初めて犬を飼う家庭には、里親になる場合は成犬ではなく子犬を選ぶこと、もしくはペットショップから子犬をお迎えすることをおすすめすることもあります。成犬でも人懐こい子はいるので、その辺りは犬の性格をよく見てどんな子が環境に合うか想像しながらお迎えするとよいでしょう。
犬猫の里親になるまでの流れ
里親の募集は、動物病院やペットショップなどでの掲示、保護団体や自治体のサイト上などで行われています。新型コロナウイルス感染症の情勢によって中止になるところもあるのですが、直接犬や猫を見ることのできる譲渡会もおすすめです。環境省のホームページ、各自治体の動物愛護センターのホームページ、保護団体のホームページ、里親募集サイトに記載があります。
筆者が勤める動物病院での事例ですが、生まれた子猫の飼い主探しをしたい、野良猫を保護したので飼い主探しをしたいという個人や団体などの要望に応えて、飼い主探しの代行をしていました。必ず貰い手がつくとも限らないので2週間の期間限定です。里親を募集している団体によっては、飼い主候補の方の家族構成や在宅時間などの条件を課していることがあります。また、トライアル期間といって動物と飼い主候補の相性をみる期間を設けているところもあります。
たくさんの里親募集。選び方・見極め方は?
保護里親に関してはさまざまな意見があるかと思います。動物愛護センターのほか、個人が保護した犬や猫の譲渡を行っているケースもあります。個人のやりとりになるので、どのような経緯で里親を探しているのか、人慣れ具合はどうなのか、健康状態や予防接種の管理などについて詳しく教えてくれるところがよいでしょう。
保護や予防接種などの費用についてもトラブルを避けるため、事前にきちんと決めておきましょう。支払いが発生する際は、その動物の受け渡しと同じタイミングに行うのがトラブルを避けるポイントです。
里親になる飼い主に必要な準備
まずは犬や猫が安心して過ごせる環境を作ります。最初は逃げ出そうとしたり触らせてくれないことも多いので、慣れるまで過ごすケージやサークルは必須です。そのほかトイレ、フードやリード(犬の場合)など飼うのに必要なものは予め用意しておきましょう。犬はしばらくは首輪にリードをつけっぱなしにしておくことをおすすめします。
大人の犬や猫は打ち解けるまで時間がかかることもあります。焦って距離を縮めようとせず、「時間をかけて信頼してもらおう」とどっしりと構えて動物のペースに合わせるとよいでしょう。
まとめ
一度は捨てられてしまった犬や猫を新しい家族としてお迎えするのは覚悟も必要ですが、とても素晴らしいことです。あらたな人生を始めた動物がまた人を信頼して幸せに生きることができるよう、焦らず、優しく、接してあげてください。
参考:
環境省 子犬と子猫の適正譲渡ガイド
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2103b/pdf/full.pdf
環境省 譲渡支援のためのガイドライン
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/support/02.pdf
au損害保険株式会社 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000005870.html