いざというときに備えて。人とペット、新型コロナ感染症の関係性とその対策
出典:PIXTA
新型コロナウイルス感染症は私たちの生活にさまざまな影響をもたらしています。人から動物への感染や動物同士の感染の可能性も示唆されており、ペットをめぐる状況も変化し続けています。感染症流行下でのペットとの生活を守るために知っておきたいことをご紹介します。
目次
人やペットをめぐる新型コロナウイルス感染症の状況
日本獣医師会が2020年7月に公表した資料では、以下の見解が記載してあります。
①感染サイクルの主体は人ですが、感染した人と濃厚接触のあった愛玩動物への感染の可能性は否定できないこと
②飼い主がし っかりした感染防御の対応をとることが、ご自身のペット動物を感染から守るためにも、最も重要だと考えること
参考
日本獣医師会
http://nichiju.lin.gr.jp/covid-19/covid-19_file10.pdf
ニューヨークの動物園ではネコ科動物への感染が認められ、中国やドイツの感染実験では猫同士の感染も成立すると発表されています。
ペットは新型コロナに感染する?
感染サイクルの主体は人から人であり、犬や猫にマスクをさせるのは誤飲や呼吸を妨げる可能性があるので避けるようにしましょう。マスクをつけることのできないペットを守るためにも、まずは飼い主自身がしっかりと感染対策を行う必要があります。
ただ、人から猫、猫から猫へ新型コロナウイルスが感染する可能性があるため、猫は完全室内飼いにして、外に出さないようにしましょう。新型コロナに感染したときにペットの面倒を頼める人がいないからといって、ペットを逃したり手放すことは避けてください。
昨年には、ペットの保険サービスを運営する企業が新型コロナウイルス感染者のペットを預かるサービスを開始。預かったペットのうち2頭の犬がPCR検査で「陽性」だったと発表しました。2頭とも公表時点では健康状態に問題なく、1頭についてはその後「陰性」となったとしています。
参考:アニコム ホールディングス株式会社
https://www.anicom.co.jp/release/2020/200731.html
飼い主が新型コロナに感染したらペットの世話はどうする?
先ほど説明したように、人からペットへとウイルスが感染する可能性があるため、基本的には感染者がペットの世話をするのは控えてください。まずは親族や知り合いに療養中のペットの世話を依頼できるか聞いてみましょう。
そのほか、新型コロナに感染した飼い主に向けたサービスを行っている団体もあります。
日本財団サポートセンターは2020年10月、日本財団災害危機サポートセンターをペット同伴で利用できる新型コロナウイルス感染症療養施設として開設しました。入所者はペットとともに仮設住宅内で生活することができます。対象のペットは室内飼育が可能な犬猫、うさぎ、ハムスターとされています。
また、ペット保険を運営するアニコムホールディングスでは新型コロナウイルスに感染してしまった飼い主さん向けに、飼い主さんが入院やペット禁止の隔離施設で生活する間、ペットを無償で預かるサービスを展開しています。
参考:
日本財団
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20201008-50059.html
アニコム ホールディングス株式会社
https://www.anicom.co.jp/release/2020/200410.html
飼い主の感染が発覚!ペットへの感染予防対策は?
人からペットへ感染する可能性があるため、家族がいる場合はお世話をお願いするなどしてペットと触れ合わないようにしてください。もしも他に依頼する人や場所がないのであれば、マスクやグローブを着用してペットのお世話をしましょう。
世話を頼めず入院やペット同伴禁止の隔離施設に入ることが決まった場合には、上記のようなペットの預かりサービスを行っているところに連絡をしてみましょう。
もしものときのために。飼い主が準備しておくことは?
新型コロナウイルスに感染し、入院やペット禁止の隔離施設に入ることになった場合を想定して、療養中の世話を誰に頼んだらいいかを予め考えておくことをおすすめします。
他の人に世話を頼む場合は突然ペットを連れて行くことは避け、電話などで問い合わせておきましょう。可能であれば、ペットの受け渡しも新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者以外の人が行うようにしてください。
直接受け渡す際には、感染した方は引き取りに来た方と接触しないように時間を決め、スマートフォンなどでやりとりしながら玄関前にペットの入ったキャリーを置くなどして預かってもらいます。
日本獣医師会や東京都獣医師会のホームページでは新型コロナウイルス感染症と動物の情報、預かり時の対応などのマニュアルが公開されているので、ペットを飼われている方は目を通してもしもの時のシュミレーションをしておくとよいでしょう。
参考
東京都獣医師会
https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200424.pdf
まとめ
新型コロナウイルスをめぐる状況は刻々と変化しており、各種ガイドラインやペットに関する見解も随時変わっていくことが予想されます。
このような状況では正しい情報を得るのも難しいと思いますが、厚生労働省や日本獣医師会、各都道府県の獣医師会の公表資料などを元に冷静に現状を把握してペットとの生活を守っていきましょう。
※現在も継続する感染症であり、情報の正確さに万全を期するために情報は日本獣医師会などの機関が公表したものに限って使用しています。そのため、2021年1月以前のデータも含まれることご了承ください。
東京都 :https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/10/08/22.html