知っておこう!犬のてんかん、その治療法や原因は?
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てんかんの原因
犬のてんかんは、脳内神経の異常な興奮によって発症し、体の調節機能を失う、痙攣、昏睡…などといったさまざまな症状を引き起こすといわれています。この神経細胞の異常興奮の原因は、ひとつには特定できませんが、各原因により治療法が変わることもありますので、まずはその原因の種類を見ていきましょう。原因1:遺伝(先天的)
比較的若い犬で見られて、脳の異常によるもの。
原因2:脳の疾患
先天的のものとは違い後天的に脳の異常が見られるもの、例えば、腫瘍、脳炎、脳の奇形、外傷による脳損傷など。
原因3:血液の異常
脳は糖(グルコース)をエネルギーとしているので、血液中の糖が足りない状態(低血糖症)や血液が脳へ運ぶ血液中の酸素不足や、血液中ミネラルバランスの極端な異常なども原因となります。
原因4:内科疾患
腎臓の疾患や肝臓の疾患が原因となることもあります。
原因5:環境要因
ストレスが原因となることもあります。
どのような治療が必要になる?
治療は、まずは内科疾患、血液の異常がないかどうか検査し異常があれば基礎疾患の治療から始まります。また、先天的、後天的なものや原因不明のてんかんに対しては、抗てんかん薬で治療が始まることも。ただし、病院の先生の判断にはなりますが、抗てんかん薬を使うかどうかの判断基準は、てんかんの起こる回数や間隔、続けて起こるか、てんかん発作後の犬の健康状態などが決めてとなりますので、てんかんの頻度、重症度によっては経過観察だけでお薬を開始しない場合もあります。抗てんかん薬はあくまでも「てんかん」を抑える薬であって治すお薬ではありません。つまり、犬のてんかんをコントロールしてあげるお薬剤にすぎないのです。
完治はできるの?
残念ながら未だ、てんかんの完全な治療法は見つかっていません。てんかん発作では、脳の神経細胞が異常発火(てんかん放電)を起こして、花火が爆発したかのように無秩序に細胞の興奮が起こり、過剰に体のエネルギーを消費してしまいうことで体が消耗され短命になってしまいます。そのため、滅多に発作を起こさないようであれば、犬には投薬しなくても問題ないと考えられます。また、お薬は個体により効果がかなり違います。薬の選択や量の決定のため少しずつ変えていく必要があるので、最初はこまめな通院や病院への報告などが必要となります。
獣医師からのアドバイス
てんかんの発作の後、ワンちゃんが何もなかったかのようにけろっとしていることも多いようですが、てんかんかな?と思う症状があるときには、早めに獣医さんに相談してみましょう。なかなか、発作中に診察はできないので、獣医さんに症状が伝えづらい時もあると思います。そのような時には携帯で動画を撮影したり、手帳に“いつ”、“どのくらいの時間”、“どのような症状があったか”といった具体的な症状をメモして、伝えるというのも大変役に立ちます。